つぎの乗客は、トワ
午前0時17分、黒い終電が来る

つぎの乗客は、トワ

時痕捜査局・第1話

第1話は最後まで無料

午前零時十六分、黒峰駅。電気のない表示板が「つぎの乗客 雨宮トワ 11歳」と告げた。黒い終電の空の運転席が、トワへ近づいてくる。母のサキは、黒い手形のついた赤い丸窓から娘の手を引きはがした。——六時間前。

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雨宮トワ、十一歳。壊れた物を見ると、理由を知るまで手が止まらない。母のサキは、建物や事故の原因を調べる仕事をしている。夕食前、トワは動かないラジオを鳴らし、ねじを一本余らせた。サキは味噌汁をよそいながら言った。「直ったあとに余る部品は、進化とは呼ばない」

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サキの仕事用電話が鳴った。黒峰駅の解体責任者、狩谷アオイからだった。「駅長室の壁から、列車の丸窓が出てきました。電気のない放送が、人の名前を呼んでいます」サキは工具箱を閉じた。トワは、余ったねじをポケットへ入れた。

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午後五時五十四分、黒峰駅。駅長室の奥壁に丸い穴がある。その壁を短い改札通路で回ると、反対側はホームの保守壁。右奥には、途中で切れた線路が雨に沈んでいた。待っていたアオイは三十二歳。二十四年前、この駅で無人列車に襲われた少女だった。

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八歳のアオイを、芝駅長が空の列車から引き離した。ところがアオイを逃がしたあと、芝駅長は自分から列車へ戻った。赤い子ども靴だけがホームに残り、列車も駅長も消えた。「私の代わりに乗ったんだと、ずっと思っていました」なぜ芝駅長は、助かったはずの列車へ戻ったのか。

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六時間後、午前零時七分。駅長室の穴の下に、直径五十五センチの赤い丸窓が立てかけられていた。列車の車掌扉から外れた物で、ひびの向こう側にだけ黒い手形がついている。古い当直日誌の時刻になった瞬間、黒い指が一本曲がり、その奥を八歳のアオイが走った。「これは道具じゃない。列車の一部よ」とサキが言った。

六時間後、午前零時七分。駅長室の穴の下に、直径五十五センチの赤い丸窓が立てかけられていた。列車の車掌扉から外れた物で、ひびの向こう側にだけ黒い手形がついている。古い当直日誌の時刻になった瞬間、黒い指が一本曲がり、その奥を八歳のアオイが走った。「これは道具じゃない。列車の一部よ」とサキが言った。

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