
まっくら体育館の ひかりの道
いきものレスキュー観察団
むりょう・8場面
かえりのチャイムのあと、体育館から、ドン……ドン……と、にぶい音が聞こえてきました。うす暗い体育館では、ツバメが一羽、高い窓のガラスに何度もぶつかっています。「出口をさがしてるんだ。でも、どうして開いてる戸口じゃなくて、ガラスに——」先生が、きみの観察カードに気づきました。「きみ、観察団だったね。お願い、いっしょに考えて」

用務員さんが両手を広げて追いかけると、ツバメはおどろいて、よけいに速くガラスへ向かいました。ドン。……ドン。ぶつかる音の間が、さっきより長くなっています。飛ぶ力が、へっているのです。窓の外では風がうなり、遠くで雷が光りました。嵐が来る前に、外へ帰さないと——でも、どうやって?

観察カードのうらの番号にかけると、少しノイズのまじった声が出ました。観察団の先輩、アオイです。『追いかけるのは逆効果。鳥には、透明なガラスや、映りこんだ空が出口のように見えることがあるの。出口以外の窓を大人がカーテンで隠し、照明を消す。外の明かりが見える出口を一つだけ大人が開けて、みんなは静かに離れよう』ノイズが強くなります。『きみ、現場を見て安全な作戦を組めるのは、そこにいる観察団員だけ』——そこで、通信が切れました。

体育館を見わたします。高い窓は、東がわと西がわに一列ずつ。東の窓の外には、外灯と月あかり。西の窓の外は、嵐の雲で真っ暗です。かべには照明のスイッチ盤——全部つける、半分だけ、全部消す。用務員さんが脚立に手をかけました。「開ける窓を決めてくれたら、わたしが開ける」ツバメは今も、点いた照明のまわりをぐるぐると回っています。

照明と窓で、ひかりの道をつくろう
これは作戦カードのシミュレーション。本物のツバメにはまだ何もしません。照明・大人が開ける窓・みんなの動きを選び、起こりそうな結果から作戦を直そう。
本物のツバメには、まだ何もしません。先生と用務員さんは遠くへ下がり、きみは作戦カードの上だけで三つの予測を試します。——照明はどうする? どちらの窓を大人が開ける? わたしたちは、どう動く? カードなら何度でも考え直せる。でも、本番は一度ずつ、鳥の様子を見ながら。カードのすみに、アオイの字が小さくありました。『答えは、暗さと静けさの中にある』