なんにも はいっていない こづつみ
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なんにも はいっていない こづつみ

ばあばの こづつみ・第1話

むりょう・8場面

がめんの むこうで、ばあばが わらって います。「エミちゃん、がっこうは たのしい?」 エミは、いいたい ことが たくさん あるのに——にほんごが のどで つっかえて、「……うん」しか でて きません。ばあばの うしろの たなに、ぬのの つつみが みっつ。「じゃあ、また ねんねの じかんだね」 ぷつん。くらい がめんに、エミの かおが うつって いました。むねの おくが、ちくっと しました。

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つぎの ひ、せんせいが いいました。「きんようびは『せかいの ひ』。おうちで たいせつに して いる くにや ぶんかを、しょうかい しましょう」 テオは、じまんの ちいさな くるまを もって くる そうです。「エミは、なにを しょうかい するの?」 ——エミは、こたえられません でした。にほんに いたのは、あかちゃんの ころ、いちどだけ。しゃしんの なかの にほんを、まだ しりません。

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とん、とん。 どようびの あさ、とどいたのは——ちゃいろい かみに つつまれた、にほんの ばあばからの こづつみ! あかと あおの しましまの ふちどり。ひもを ほどくと、でて きたのは、たたまれた 一まいの ぬのと、てがみ だけ。「……なんにも、はいって いない?」 さかさに して ふっても、なにも おちて きません。ママが わらいました。「あら。ばあばったら、また なぞかけね」

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てがみを ひらくと——「エミちゃんへ。きんもくせいが かおる ころです。——では、ここで なぞかけです。◇かばんに なるし、ぼうしにも なる。プレゼントを つつめば、リボン いらず。ひろげたら、ただの 一まい。さて、なんでしょう?◇ うみの むこうから、ばあばより」 ママが なつかしそうに いいます。「ばあばの てがみには、いつも なぞかけが あるの。ママも むかし、といたなあ」

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なぞかけの こたえだと おもう ものを、とんとん! のこり 1こ

「かばんに なって、ぼうしにも なって、プレゼントも つつめる……?」 エミと ママは、つくえの うえに、こづつみの なかみを ぜんぶ ならべました。ちゃいろい つつみがみ。しろい ひも。てがみの はいって いた ふうとう。そして、たたまれた ぬの。 ——てがみを もういちど よんで、なぞかけの こたえだと おもう ものを、とんとん、して ごらん。

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ママが ぬのの はしと はしを、きゅっ、きゅっと むすぶと——「かばんに なった!」 かぶって うしろで むすべば、ずきん。ジャムの びんも、つつんで かたてで ひょい。「これはね、『ふろしき』。つつむ、むすぶ、ひろげる——なんにでも へんしんする、にほんの 一まいよ」 かえって きた パパが、めを まるく します。パパには よめない てがみを、エミが ゆびで なぞって、よんで あげました。

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せかいの ひ。エミの ばん です。まえに たつと、また ことばが つっかえます。その とき、がしゃん! テオの はこが おちて、くるまが ころころ、ころころ! ころがる くるまの さきに、エミは ふろしきを さっと ひろげ、あつめて、きゅっ。むすんで、テオに はい。「まほうの ぬのだ!」 「『ふろしき』って いうんだよ。ぼうしにも なるんだよ」 こんどは ことばが、すらすら あふれて きました。

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そのばんの でんわで、エミの ことばは とまりません でした。「ばあば、あのね、あのね!」 ——ねえ、どうして ふろしきの こと、わかったの? ばあばは めを ほそめました。「さあ、どうしてかね。それは こんど、なぞかけに して おこうかね」 エミは、へんじを かきました。さいごの ぎょうは——「こんどは エミの ばん。——では、ここで なぞかけです。 うみの こっちから、エミより」

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ことばの たからばこ・1

  • ことばが 出なかった よるの こと、おぼえてる? ことばは にげたんじゃ ない。じゅんばんを まって いたんだ。しらない ことばは、これから であう ことばだ。
  • とおくに いても、「いま いちばん ひつような もの」は、ちゃんと とどく。
  • 「ふろしき」は、むかし おふろやさんで きものを つつんで はこんだり、ぬいだ きものの したに しいたり した ぬの だから、その なまえに なった と いわれているよ。ひとつの ぬのを すてずに つかいつづける——「もったいない」の こころ。
  • ばあばの こづつみは、どうして いつも「いま いちばん ひつような もの」なんだろう。——つぎの こづつみは、もう うみの うえかも しれない。

2 予告

こんどは エミの ばん

いま とんで いきたい ⇄ うみの むこう

でんわの むこうの ばあばの こえが、ガラガラ でした。——かぜを ひいた ばあばに、こんどは エミが、はじめての こづつみを おくります。うみの むこうへ、なにを つつむ?

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