
はなびが きえた よる
The Night the Fireworks Vanished
むりょう・7場面
きょうは まちの はなびたいかいの よる。かわらは ひとで いっぱいで、ユイも かぞくと ばしょとりを して いました。ドン!……あれ? そらに あがった はなびは、ひかりも もようも ないまま、けむりだけに なって きえました。つぎも。その つぎも。「はなびが……こわれちゃった?」 まちじゅうが ざわざわ、ざわざわ。よぞらは、まっくらな ままです。

その よる、おばあちゃんの くらでは、ふるい えまきが ぱたぱたと ひとりでに ゆれて いました。ひらくと——えどの かわびらきの え。でも、えの なかの そらにも、はなびが ありません。「『時売りの ネジル』の しわざだね」と おばあちゃん。「れきしから 『はなびの はじまり』を ぬすんで、たかく うる つもりだよ。こんやの うちに とりかえさないと、はなびは この よから きえて しまう」

えまきに とびこむと、そこは えどの りょうごくばし。かわには やかたぶねが ならび、はしの うえは ひとで ぎゅうぎゅうです。みんな、にほんで はじめての おおきな はなびを まって いるのです。でも——はなびしの こやは おおさわぎ。「ひみつちょうが ない! あれが なければ、はなびは あげられねえ!」 れきしが いままさに、ここで こわれかけて いました。

「おさがしものは、これかな?」 ふりむくと、やまたかぼうの おとこが、ふろしきづつみを ひらひら ふって います。時売りの ネジルです。「『はなびの はじまり』は、めったに 手に はいらない しなものでね。とおくの おかねもちが、たかーく かって くれるのさ」。ネジルは にやりと わらうと、ひとごみに すっと まぎれました。「見つけられるかな、おじょうちゃん?」

ネジルと ひみつちょうは どこ? のこり 2こ
ひとごみの どこかに、ネジルは へんそうして かくれて います。でも、あわてんぼうの へんそうは、どこか ぬけて いるはず。ぼうしや しましまが、はみだして いるかも。それに、ひみつちょうの つつみも、どこかに かくして あるはず。きみの めで さがしだして! 見つけたら、とんとん!

「みーつけた!」 ユイが とんとんすると、へんそうが ぱらりと おちました。「なっ、なぜ わかった!?」「ぼうしと しましまが、はみでてたよ」。ひとびとが ふりむき、はなびしの おやかたが かけつけます。ネジルは ひみつちょうを ぽとりと おとすと、けむりだまを ぽん! 「きょうは まけて おいて やる。つぎの 『時』は、かならず いただくぞ!」 こえだけを のこして、きえて しまいました。

「たまやー!」 その よる、えどの そらに、にほんで はじめての おおきな はなが ひらきました。ひとびとの かんせいが、かわを ゆらします。えまきが きんいろに ひかって——気がつくと、ユイは かわらの かぞくの となりに もどって いました。ドン! よぞらに、おおきな おおきな はなび。「きれいだねえ」と おかあさん。ユイだけが、この はなびの ひみつを しって いるのです。
はなびの はじまり ずかん

- にほんの おおきな はなびは、えどの りょうごくの かわびらきから はじまった
- 「たまやー!」「かぎやー!」は はなびしの みせの なまえ。じょうずな はなびに かけごえを おくったんだ
- はなびの いろや かたちは、はなびしが ひみつの ちょうめんに かきためた くふうの たからもの
- はなびは よぞらの おまつり。おとが なったら、みんなで そらを 見あげよう
