
読めない本を、開いた
正解を教える前に、わが子の考えを聞いてみませんか。
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「この本は、ほんとうだ!」杉田玄白は、一冊の本を抱きしめ、江戸の道を走っていました。その日の朝、玄白、前野良沢、中川淳庵は、人の体の中を確かめました。これまで正しいと思っていた絵は、ほんとうの体と違う。けれど、オランダの本の絵だけは、驚くほど同じだったのです。

「この本を、日本の医師も読めるようにしたい」部屋に着くと、玄白はすぐ本を開きました。けれど、並んでいたのは見たことのない文字。頼りにできる辞書もありません。最もオランダ語を学んだ良沢でさえ、読める文はわずかでした。正しい絵は、目の前にある。それなのに、言葉が届かない。

玄白は本を胸に抱きました。「この絵を、ほかの医師にも早く見せたい」良沢は静かに首を振りました。「絵だけでは足りない。言葉を一つ間違えれば、違う体を教えることになる」淳庵は二人の間で本を見つめます。「届けたい。でも、間違いは届けたくない」三人の願いは同じでした。

これまで確かだと思っていた絵は、今日見た体と違っていました。このままなら、本当の体の仕組みは広がりません。けれど、読めない言葉を急いで訳せば、別の間違いを広げてしまう。辞書はない。分かる言葉はわずか。どれほどかかるかも分からない。部屋が静かになりました。

「辞書がそろうまで、待つべきだろうか」「それとも、分かる一語から始めるか」三人の前に、二つの道がありました。待てば、間違いを減らせるかもしれない。でも、その間、本当の体の仕組みは広がらない。今始めれば、早く届けられるかもしれない。でも、間違えるかもしれない。

ここで、結末を見る前にお子さんへ聞いてみてください。「三人と同じ部屋にいたら、どちらから進む?」
タップして えらぶ
物語を読み終えた、その先へ
歴史が、親子の会話になる。
このシリーズが届けるのは、年号の暗記だけではありません。史実の分かれ道で立ち止まり、お子さんが何を大切にして決めたのかを知る時間です。Lumisia Storiesでは、歴史・科学・ことばの物語を通して、親子で答えのない問いを話せる時間を届けます。